美肌の湯とは?特徴や泉質の種類・温泉の楽しみ方をわかりやすく解説
「美肌の湯とはどのような温泉なのだろう」「普通の温泉とは何が違い、どのような泉質を選べばよいのだろう」と気になっている方もいるのではないでしょうか。美肌の湯や美人の湯という言葉を目にする機会は多いものの、すべてが同じ泉質というわけではなく、温泉に含まれる成分やpHによって湯ざわりなどの特徴も異なります。
今回の記事では、美肌の湯という呼び方の意味をはじめ、美肌と結び付けて紹介される主な泉質とその理由、温泉を選ぶときの見方、入浴時のポイントについて解説します。さらに、日本三大美肌の湯と呼ばれる温泉地や、美肌の湯として親しまれている岡山県の湯郷温泉についても紹介します。呼び名だけで判断せず、泉質や成分にも目を向けながら温泉を楽しみたい方は、ぜひ参考にしてください。
美肌の湯とはどのような温泉か

「美肌の湯」は、温泉分析書に記載される正式な泉質名ではありません。温泉地や宿などが、泉質やpH、湯ざわりといった特徴をもとに、美肌と結び付けて紹介するときに使われる呼び方です。まずは、公的な泉質分類との違いと、「美人の湯」という表現との関係から見ていきましょう。
正式な泉質名ではない「美肌の湯」
温泉のうち、一定の基準を満たす「療養泉」は、含まれる化学成分などによって単純温泉、塩化物泉、炭酸水素塩泉、硫酸塩泉、二酸化炭素泉、含鉄泉、酸性泉、含よう素泉、硫黄泉、放射能泉の10種類に分類されます。「美肌の湯」は、この10種類に含まれる公的な泉質名ではありません。
そのため、「美肌の湯」と案内されている温泉同士でも、泉質やpH、成分は異なります。呼び名は温泉の特徴を知るきっかけになりますが、入浴すれば必ず肌がきれいになるという意味ではありません。実際の温泉の個性を知りたいときは、浴場などに掲示されている温泉分析書や施設の案内にも目を向けるとよいでしょう。
「美人の湯」との関係
「美人の湯」も「美肌の湯」と同様に、全国共通の基準で定められた泉質名ではありません。温泉地の歴史や泉質の特徴、入浴したときの肌触りなどを伝える表現として使われており、2つの言葉に公的な区別が設けられているわけではありません。
一般に、炭酸水素塩泉やアルカリ性の湯などは、入浴後のなめらかな肌触りから「美人の湯」と呼ばれることがあります。また、群馬県の川中温泉、和歌山県の龍神温泉、島根県の湯の川温泉は「日本三大美人の湯」として知られています。呼び名の由来は温泉地によってさまざまなので、その温泉がどのような泉質や性質を持つのかもあわせて見てみましょう。
美肌の湯と結び付けられる主な泉質
美肌の湯として紹介される温泉では、アルカリ性単純温泉や炭酸水素塩泉など、いくつかの泉質が取り上げられます。美肌と結び付けられる理由には、入浴したときの肌触りに加え、環境省が定める泉質別の適応症(浴用)に「皮膚乾燥症」などが含まれていることも挙げられます。ただし、適応症は入浴すれば必ず症状が改善することを示すものではなく、同じ泉質でも成分量やpHは温泉ごとに異なります。
| 泉質 | 美肌と結び付けられる主な理由 |
|---|---|
| アルカリ性単純温泉 | 肌触りがやわらかく、すべすべした感触を得やすい |
| 炭酸水素塩泉 | なめらかな湯ざわりで、浴用の適応症に皮膚乾燥症を含む |
| 硫酸塩泉 | 浴用の適応症に皮膚乾燥症を含む |
| 硫黄泉 | 浴用の適応症にアトピー性皮膚炎や慢性湿疹などを含む |
| 塩化物泉 | 湯上がりも温かさが続きやすく、浴用の適応症に皮膚乾燥症を含む |
アルカリ性単純温泉
単純温泉は、温泉水1kg中の溶存物質量が1,000mg未満で、湧出時の泉温が25℃以上の温泉です。そのうちpH8.5以上のものを「アルカリ性単純温泉」と呼びます。日本温泉協会では、肌触りがやわらかく、入浴すると肌がすべすべする感触があることを特徴として挙げています。
アルカリ性の湯は、皮膚表面の皮脂や古い角質をやわらかくするといわれ、入浴中や湯上がりにつるつるとした感触を覚える方も多い泉質です。ただし、成分構成や湯温は温泉ごとに異なり、肌への感じ方にも個人差があります。実際の湯ざわりを楽しみながら、自分の肌との相性を確かめてみましょう。
炭酸水素塩泉
炭酸水素塩泉は、温泉水1kg中の溶存物質量が1,000mg以上あり、陰イオンの主成分が炭酸水素イオンの療養泉です。ナトリウムを主成分とするものは「ナトリウム-炭酸水素塩泉」と表記されます。
炭酸水素塩泉は、皮膚表面の角質をやわらかくするとされ、入浴後に肌がなめらかに感じられることから、一般に「美人の湯」と呼ばれることがあります。浴用の泉質別適応症にも、きりきずや冷え性などとあわせて皮膚乾燥症が挙げられています。一方で、湯上がりに乾燥を感じる場合もあるため、肌の状態に応じて保湿するとよいでしょう。
硫酸塩泉
硫酸塩泉は、温泉水1kg中の溶存物質量が1,000mg以上あり、陰イオンの主成分が硫酸イオンの療養泉です。陽イオンとの組み合わせによって、ナトリウム-硫酸塩泉、カルシウム-硫酸塩泉、マグネシウム-硫酸塩泉などと表記されます。
浴用の泉質別適応症には、きりきずや冷え性などのほか、皮膚乾燥症が含まれています。美肌の湯を紹介する温泉施設の案内で取り上げられることがあるのも、こうした特徴によるものです。成分の組み合わせによって湯の性質は変わるため、pHやほかの含有成分とあわせて見ると、それぞれの温泉の違いが分かりやすくなります。
硫黄泉
硫黄泉は、温泉水1kg中に総硫黄を2mg以上含む療養泉です。硫黄の含まれ方によっては、温泉らしい独特の香りを感じることもあります。白濁した湯を思い浮かべる方もいますが、色や香りは成分や源泉の状態によって異なり、無色透明の硫黄泉もあります。
浴用の泉質別適応症には、アトピー性皮膚炎や尋常性乾癬、慢性湿疹、表皮化膿症など、皮膚に関わるものが多く挙げられています。一方で、刺激が比較的強い泉質でもあり、皮膚や粘膜が敏感な方、乾燥しやすい方には適さない場合があります。入浴前に施設の注意事項を確認し、違和感があれば早めに上がりましょう。
塩化物泉
塩化物泉は、温泉水1kg中の溶存物質量が1,000mg以上あり、陰イオンの主成分が塩化物イオンの療養泉です。日本各地で見られる代表的な泉質のひとつで、塩分を比較的多く含む温泉では、湯に塩味を感じることもあります。
湯に含まれる塩分が肌の表面に付着して水分の蒸発を抑えるため、湯上がりも温かさや潤いが続きやすいとされています。浴用の泉質別適応症にも皮膚乾燥症が含まれ、美肌の湯として案内されている温泉地でも見られる泉質です。岡山県の湯郷温泉も塩化物泉に分類され、後半で詳しく紹介します。
美肌の湯を選ぶときに見るポイント

「美肌の湯」という名称だけでは、その温泉の性質までは分かりません。旅行先を選ぶ際は、温泉分析書や施設の案内に記載された数値や成分にも目を向けると、湯の違いをつかみやすくなります。専門的な成分名をすべて覚える必要はなく、まずはpHと代表的な含有成分の2点に注目すると比較しやすくなるでしょう。
- 酸性・アルカリ性を示すpH値
- メタケイ酸などの含有成分
酸性・アルカリ性を示すpH値
pHは、温泉が酸性・中性・アルカリ性のどこに位置するかを示す数値です。温泉では、pH3未満が酸性、pH3以上6未満が弱酸性、pH6以上7.5未満が中性、pH7.5以上8.5未満が弱アルカリ性、pH8.5以上がアルカリ性と区分されます。
アルカリ性に近いほど、すべすべした肌触りを感じやすい傾向がありますが、数値が高いほど肌によいという意味ではありません。肌が敏感な方は刺激を感じる場合もあるため、pHは優劣を付ける数字ではなく、「どのような性質の湯なのか」を知るための情報として活用しましょう。
メタケイ酸などの含有成分
温泉分析書には、泉質名やpHだけでなく、さまざまな成分の含有量が記載されています。美肌の湯について調べていると目にすることが多い成分のひとつがメタケイ酸です。温泉法では、メタケイ酸が温泉水1kg中に50mg以上含まれることは、温泉に該当する成分基準のひとつとされています。
ただし、「メタケイ酸が何mg以上なら美肌の湯」といった公的な基準があるわけではありません。特定の成分量だけで判断せず、泉質やpHとあわせて、その温泉の特徴を知る手掛かりとして見ることが大切です。
美肌の湯を楽しむ入浴のポイント
美肌の湯を心地よく楽しむには、泉質だけでなく入り方にも気を配りたいところです。長く入ればよいわけではなく、その日の体調や肌の状態に合わせて湯温や時間を調整する必要があります。入浴前から湯上がりまでをひと続きの時間として考え、自分に合った楽しみ方を心掛けましょう。
- 肌の状態に合わせた入浴
- 無理のない湯温と入浴時間
- 入浴後の保湿と水分補給
肌の状態に合わせた入浴
温泉への感じ方は、泉質だけでなく、その日の肌状態や体質によっても変わります。乾燥しているときや肌荒れがあるときには、普段は気にならない湯でも刺激を感じることがあります。入浴中にヒリヒリする、かゆみが出るなどの違和感があれば、無理に入り続けないようにしてください。
浴場には温泉の禁忌症や入浴上の注意が掲示されています。傷や炎症がある場合、皮膚の治療中で不安がある場合は、自己判断で長時間入浴せず、必要に応じて事前に医師へ相談しましょう。
無理のない湯温と入浴時間
温泉は長時間入り続けるほどよいものではありません。環境省の基準では、入浴時間は湯温によって異なるものの、初めは3〜10分程度とし、慣れてから15〜20分程度まで延ばしてもよいとされています。
入浴前には手足から掛け湯をして体を湯温に慣らし、食事の直前・直後や飲酒後の入浴は避けましょう。基本的な入り方やマナーについては、「温泉の入り方は?基本の順番や時間・回数・マナーを解説」の記事で詳しく紹介しています。
入浴後の保湿と水分補給
環境省の基準では、入浴後は一般的に温泉成分を温水で洗い流さず、タオルで水分を拭き取る方法が示されています。ただし、肌が弱い方や、酸性泉・硫黄泉など刺激を感じやすい泉質では、洗い流した方がよい場合もあります。肌に刺激を感じたときは、温泉成分を無理に残そうとせず、必要に応じて洗い流してください。
湯上がりに肌の乾燥が気になる場合は、普段使っている保湿剤でケアするのもひとつの方法です。入浴では汗をかくため、入浴前後の水分補給も忘れずに行いましょう。温泉成分だけに頼らず、休憩や普段どおりの肌ケアまで含めて整えると、心地よく過ごせます。
日本三大美肌の湯と呼ばれる温泉地

「日本三大美肌の湯」として知られているのは、佐賀県の嬉野温泉、栃木県の喜連川温泉、島根県の斐乃上温泉です。この3温泉は、それぞれの自治体や観光団体でも日本三大美肌の湯として案内されています。泉質は同じではないため、名前だけでひとまとめにせず、それぞれの違いを見るのも楽しみ方のひとつです。
佐賀県の嬉野温泉
嬉野温泉は、佐賀県嬉野市にある温泉地で、日本三大美肌の湯のひとつとして知られています。嬉野市の公衆浴場「シーボルトの湯」では、泉質をナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉と案内しています。なめらかな湯ざわりでも知られる温泉地です。
温泉街には公衆浴場や足湯などがあり、宿泊だけでなく散策しながら湯に親しめる環境が整っています。温泉そのものを旅の目的にしつつ、街歩きや食事も楽しみたい方にとって、滞在の組み立て方に幅を持たせやすい温泉地といえるでしょう。
栃木県の喜連川温泉
喜連川温泉は栃木県さくら市にある温泉地で、日本三大美肌の湯のひとつです。さくら市では泉質をナトリウム-塩化物温泉、弱アルカリ性低張性高温泉と案内しており、微黄色澄明の湯や、肌がすべすべするといった特徴を紹介しています。
市内には道の駅きつれがわをはじめ、複数の温泉施設があります。宿泊旅行だけでなく、日帰りで温泉を楽しむ選択肢もあるため、旅程や滞在時間に合わせて利用しやすいのも特徴です。
島根県の斐乃上温泉
斐乃上温泉は、島根県奥出雲町にある温泉で、日本三大美肌の湯のひとつとして町や観光協会から紹介されています。奥出雲町観光協会の案内では、泉質はアルカリ性単純温泉で、pH9.9とされています。高いアルカリ性を持つことが、斐乃上温泉の特徴のひとつです。
自然豊かな奥出雲に位置しており、温泉と周囲の景色を合わせて楽しめます。温泉地を選ぶときには、美肌の湯という名称だけでなく、泉質や周辺環境、宿での過ごし方まで見比べると、自分が求める旅行に合った場所を見つけやすくなります。
美肌の湯として親しまれる湯郷温泉
日本三大美肌の湯以外にも、美肌の湯・美人の湯として親しまれている温泉地は全国にあります。岡山県美作市の湯郷温泉もそのひとつです。約1200年の歴史を持ち、古くから湯治の湯として親しまれてきた湯郷温泉の泉質と、季譜の里での楽しみ方を紹介します。
湯郷温泉の泉質と特徴
季譜の里の温泉は、窒素ガスを含んだ微弱アルカリ性のナトリウム・カルシウム塩化物泉です。先に紹介したとおり、塩化物泉は湯に含まれる塩分が肌を覆い、湯上がりも温かさや潤いが続きやすいとされる泉質です。当館では、湯治の湯、美肌の湯として、2回、3回と入浴を楽しまれる方も少なくありません。
湯郷温泉は、日本三大美肌の湯のようなアルカリ性単純温泉や炭酸水素塩泉とは異なる泉質です。「美肌の湯」と呼ばれる温泉が一つの泉質に限られないことが分かる例でもあります。複数回入浴する場合も、休憩や水分補給を挟みながら、その日の体調に合わせて湯郷ならではの湯ざわりをお楽しみください。
季譜の里で楽しめる湯郷の温泉
季譜の里では、庭園を眺められる大浴場や石畳の露天風呂で、湯郷温泉をお楽しみいただけます。ご家族やご夫婦で利用できる貸切露天風呂もご用意しています。
客室で温泉を楽しみたい方には、湯郷では珍しい源泉100%の湯を満喫できる温泉スイートや、庭園や山々を眺めながら入浴できる露天風呂付客室がおすすめです。周囲を気にせず、自分たちのペースで何度でも湯浴みを楽しめます。
まとめ | 泉質の特徴を知って美肌の湯を楽しもう
美肌の湯は正式な泉質名ではなく、アルカリ性単純温泉や炭酸水素塩泉、塩化物泉など、さまざまな泉質の温泉に使われている呼び方です。肌触りのよさに加え、泉質によっては浴用の適応症に皮膚乾燥症などが含まれていることも、美肌と結び付けられる理由のひとつです。温泉を選ぶ際は名称だけで判断せず、泉質やpH、含有成分にも目を向け、その日の肌状態に配慮しながら無理なく楽しみましょう。
岡山県の湯郷温泉も、美肌の湯として親しまれている温泉地のひとつです。季譜の里では、大浴場や露天風呂、貸切露天風呂に加え、源泉100%の温泉スイートや露天風呂付客室もご用意しています。湯郷温泉ならではの湯ざわりと、季譜の里で過ごすゆったりとした温泉時間をぜひお楽しみください。
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